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ザ・ラグビーチャンピオンシップ開幕!南半球のラグビーを知り尽くす姫野和樹インタビュー「優勝予想は酷だけど有利なのは...」

世界に冠たる強豪国が持ち前のフィジカル、スキル、インテリジェンスで真剣勝負を繰り広げる「南半球4カ国対抗戦 ザ・ラグビーチャンピオンシップ」が、いよいよ8月10日(土)に開幕する。WOWOWでは今年も全6節、12試合を独占放送・ライブ配信。世界中のラグビーファンが注目している最高レベルのラグビーを、約2カ月にわたり余すことなくお届けする。

昨年の前回大会の順位順に、ニュージーランド、南アフリカ、アルゼンチン、オーストラリアという世界のラグビーの歴史を築いてきた4カ国による対抗戦は2012年から行われてきた。毎年熾烈な争いが行われているなか、ニュージーランドが4連覇中(2020年のトライ・ネーションズ優勝を含む)と強さを見せている。昨年の23年W杯を制した南アフリカ、年々強化が進むアルゼンチン、復活を目指すオーストラリアがその連覇を止めるのか、今大会も開幕から最終節まで動向が見逃せない。

今回は、19年・23年W杯に連続出場し、23年W杯では日本代表キャプテンを務めたトヨタヴェルブリッツのFL/No.8姫野和樹選手に、ザ・ラグビーチャンピオンシップの見どころについてインタビュー。2021年にスーパーラグビーのハイランダーズでプレーしニュージーランドのラグビーを経験したほか、日本代表の中心選手としてニュージーランド、南アフリカ、アルゼンチン、オーストラリアと対戦してきた経験豊富な姫野選手ならではの視点で大会全体と各チームの印象、注目選手、そして優勝予想などを語っていただいた。

──姫野選手はザ・ラグビーチャンピオンシップをどのような大会だととらえていますか?

「世界で一番レベルが高い大会ですね。もちろんシックス・ネーションズ(欧州6カ国対抗戦)もハイレベルですが、ザ・ラグビーチャンピオンシップはたとえばニュージーランドらしさ、南アフリカらしさなどそれぞれ違ったタイプのラグビーが繰り広げられ、それぞれの特色やおもしろさがあります。また、昨年W杯で対戦したアルゼンチンは年々強化が進んでいる印象がありますし、オーストラリアも低迷していたものの素晴らしいポテンシャルのあるチームです。今大会はどこが勝つかわかりません」

──姫野選手が特に思いを寄せるニュージーランドは、スコット・ロバートソン新HC(ヘッドコーチ)が就任しました。どんなチームになったと感じていますか?

「オールブラックス(ニュージーランド)のスタイルは変わらないと思います。ただ、そこにディテールが詰められている感じはしました。アンストラクチャー(陣形が整っていない状態)に強いのがニュージーランドラグビーの特徴で、その状況をどう作るかを考えてラグビーを構築しているなと感じています。そしてそれを体現できる選手が揃っていますので、相手をどう崩していくか、自分たちの強みをどう出していくか、といったことを理解している印象を受けました。
 HCのやりたいことをすでに理解している選手がいるのは代表として強みになると思います。今はまだ(新体制が)始まったばかりなのでこれからが楽しみですが、ハイランダーズからはPRイーサン・デグルートしか選ばれていないのが個人的には気になるところです」

──姫野選手とハイランダーズで一緒にプレーしたPRデグルート選手は代表に定着してきました。

「僕がハイランダーズに入ったころ(2021年)はまだ彼はオールブラックスではありませんでしたが、その体の強さにびっくりしました。ものすごくポテンシャルがあり、ハングリー精神も強い選手なので、最初に代表に選ばれたときはすごく嬉しかったです。今こうしてポジションを確立している姿を見ていても素晴らしいと思います」

──他にも注目している選手がいればお願いします。

「(かつての)チームメイトはひいき目に見てしまいますね。代表に復帰したLOパトリック・トゥイプロトゥ(元トヨタヴェルブリッツ)も、そしてもちろんSOボーデン・バレットも本当にいい選手です。
 また、FLダルトン・パパリイにも注目しています。2018年に対戦しましたが、それが彼にとってのファーストキャップでした。その後の活躍を見ていてプレーの質の高さやスマートさを感じていたので、個人的には頑張って欲しい選手です。
 そしてSOダミアン・マッケンジーですね。ケガでなかなかW杯に出られませんでしたが(23年W杯で初出場)、今は10番(SO)としてロバートソンHC率いる新チームにも定着していますので、ぜひポジションを確立してほしいと願っています」

──続いて南アフリカについてうかがいます。昨年の前回大会は2位でしたが、その後のW杯で優勝、連覇を成し遂げました。

「わかっていても止められないチームです。メンバーがあまり変わっていないなかで最近は若い選手も活躍しており、そのような若い世代をどのように育てながらチームを作っていくのか、とても興味深く見ています。
 また、アシスタントコーチとしてトニー・ブラウン(前日本代表アタックコーチ)が入ったことによって南アフリカのアタックにどういうバリエーションが生まれるのか、そういったところを意識して直近の試合を見ていました。トニー・ブラウンらしいボールの回し方など、今までの南アフリカでは見られなかったプレーがところどころで見られたので、今大会も楽しみです」

──今回もリーグワンで活躍中、またはかつて活躍した選手が多数招集されています。

「彼らのフィジカルは世界一なので、日本でそのレベルに触れられることはとてつもなく貴重な経験です。南アフリカ以上にフィジカルが強いチーム、選手はいないですからね」

──トヨタヴェルブリッツのチームメイト、FLピーター=ステフ・デュトイ選手も当然選出されています。あらためて、どんな選手でしょうか?

「一緒にやっていて特に"すごい"と感じるのは運動量ですね。何故あんなに走れるのかわからないほど走れますし、非の打ち所がありません。練習で感情をあらわにするタイプではなく淡々としているのですが、試合になるとスイッチを切り替え120%の力を発揮する、そんなスタイルの選手です」

──元チームメイトのFBウィリー・ルルー選手は、年齢を重ねた現在も引き続き素晴らしいパフォーマンスを見せています。

「彼はたぶん45歳くらいまでプレーできるのではないでしょうか(笑)。とにかく仕掛け方や人を生かす能力に長け過ぎていて、年齢を重ねて経験値を増したことで彼の強みにどんどん磨きがかかっています。調子もいいですし、さらなる活躍を期待しています」

──他にも注目選手がいればお願いします。

「やはりキャプテンのFLシヤ・コリシですね。恵まれない境遇から苦労して栄光をつかんだ姿に僕自身も感じるものがあります。キャプテンですし、あのチームをまとめるのは並大抵のことではありません。常に応援し、注目している選手です」

──続いて、昨年の前回大会で3位に入ったアルゼンチンの印象を聞かせてください。

「一度乗せると本当に厄介なチームです。自分たちのパッションを自ら出してきます。それによっていいプレーをさせてしまうと相手のエネルギーまで奪い、どんどん乗ってくるようなチームだと感じています。
 彼らに勝つには前半、つまり早い段階からシャットアウトしなければなりません。ですから今回のザ・ラグビーチャンピオンシップも最初(第1節のニュージーランド戦)が大事になると思います。試合序盤に彼らがどれだけペースをつかめるかにかかっています。
 チームを支えているのは強いFWです。FWから自分たちのエネルギーを作っていると感じます。僕らも昨年のW杯では前半こそ彼らを抑えることができましたが、その後はFWから流れを変えてきました」

──前回大会の3位からさらに順位を上げる可能性はあるでしょうか?

「直近の試合を見ていてもどのチームも強化が進んでいますので、本当にわかりません。わからないからこそザ・ラグビーチャンピオンシップはおもしろいわけです。どこが勝ってもおかしくないですし、混沌とするのではないかと思います」

──注目選手は、やはり......。

「No.8パブロ・マテーラですね。アルゼンチンの心臓ですね。昨シーズンのリーグワンは終盤に(23年W杯のケガから)復帰しましたが、すべての試合で溌剌としたプレーでインパクトを残していました。彼がいいプレーをするとチームも乗ってくるような、本当に素晴らしい選手だと思っています。
 あとはLO/FLマルコス・クレメルです。ビッグタックラーで、彼のタックルは一番受けたくありません(笑)。彼にインパクトのあるタックルをさせるような試合になるとアルゼンチンのペースになります。マテーラも同じくですね」

──BKに関してですが、日本代表は昨年のW杯ではWTBマテオ・カレーラス選手にハットトリック(3トライ)を決められました。

「彼のようなトライゲッターがいるところがチームとして素晴らしいと思います。いかにFWが前に出て、彼らBKに最高のシチュエーションをプレゼントしてあげられるか、というところにかかっていると思います」

──最後に、前回大会は最下位に終わったオーストラリアについて、まずはその印象からうかがいます。

「ワラビーズも強いですよね。昨年は自分たちのやりたいことが見えておらず全員がバラバラの方向に向かっている印象でしたが、今はキュッと一つにまとまっているように見えます。そこはやはりジョー・シュミット新HCの手腕なのではないでしょうか。以前のワラビーズは個々でプレーしがちな印象でしたが、今はチームとして向上しているように感じます。ラグビー自体はまだ不完全な部分もあるかもしれませんが、伸び代は一番大きいチームだと思っています」

──オーストラリアは姫野選手にとって特別なチームだと聞きます。

「もちろん僕のファーストキャップの相手だったこともありますが、高校、大学の頃からワラビーズのキャプテンだったFLマイケル・フーパーに憧れていたことも大きいです。彼はつい先日、代表引退を表明しましたが、2021年のワラビーズとの試合後にジャージを交換し、今でもそれを飾っています。ですから僕にとってワラビーズは特別なチームです」

──続いて注目選手をお願いします。

「FBトム・ライトですね。ランニングやボールのもらい方、ずらし方、どのプレーも素晴らしい選手です。何度か対戦したことがあるのですが、捕まえられそうで捕まえられないんですよね。非常に調子がいいですし、今後もワラビーズを支える選手になると思います」

──FWはいかがでしょうか?

「FL/No.8ロブ・ヴァレティニは本当にフィジカルが強く、一番タックルしたくない選手です。ヒットしてからの推進力は素晴らしいのですが、同じFWとしてあのような選手を止めなければいけない、という意味でも注目しています。

──今大会で、姫野選手が特に注目されている対戦カードはどれでしょうか?

「全部いいカードですが、やはり南アフリカvsニュージーランド(第3節・第4節)ですね。かなりタイトなゲームになると思います。昨年のW杯の決勝と同じ組み合わせですし、本当にどちらが勝つかわかりません。勝敗を予想することすら酷です」

──優勝を予想していただくのも酷なことですが、ぜひお願いします。

「酷ですね(笑)。でも、今年は南アフリカが優勝するような気がします。メンバーもHCも変わっていないですし(ラシー・エラスムスHCは19年W杯までHCを務めた後、昨年まで南アフリカのディレクター・オブ・ラグビーを務め、今年HCに再任)、ニュージーランド、アルゼンチン、オーストラリアは新体制になったばかりでまだ時間が必要そうなので、チームとして何年もの積み上げがある南アフリカがやや有利なのではないかと予想しています」

自らの経験、視点をもとにザ・ラグビーチャンピオンシップの魅力、見どころを語ってくれた姫野選手も大いに楽しみにしているザ・ラグビーチャンピオンシップ。8月10日(土)の開幕とその後の熾烈な争いを、ぜひWOWOWでお楽しみいただきたい。

◆◆◆[WOWOW ラグビー 放送・配信情報]◆◆◆


「南半球4カ国対抗戦 ザ・ラグビーチャンピオンシップ」

<第1節>
「オーストラリア vs 南アフリカ」
8/10(土) 午後1:30~ WOWOWライブWOD※生中継 ※無料放送・配信

「ニュージーランド vs アルゼンチン」
8/10(土) 午後3:50~ WOWOWライブWOD※生中継

<第2節>
「ニュージーランド vs アルゼンチン」
8/17(土) 午後3:50~ WOWOWライブWOD※生中継

「オーストラリア vs 南アフリカ」
8/17(土) 午後6:40~ WOWOWプライムWOD※生中継

<第3節>
「南アフリカ vs ニュージーランド」
8/31(土) 午後11:45~ WOWOWプライムWOD※生中継

「アルゼンチン vs オーストラリア」
9/1(日) 午前6:45~ WOD※ライブ配信
9/1(日) 午後4:00~ WOWOWライブWOD

<第4節>
「南アフリカ vs ニュージーランド」
9/7(土) 午後11:45~ WOD※ライブ配信
9/8(日) 午後8:30~ WOWOWライブWOD

「アルゼンチン vs オーストラリア」
9/8(日) 午前3:45~ WOWOWプライムWOD※生中継

<第5節>
「オーストラリア vs ニュージーランド」
9/21(土) 午後2:40~ WOWOWプライムWOD※生中継

「アルゼンチン vs 南アフリカ」
9/22(日・祝) 午前5:45~ WOWOWライブWOD※生中継

<最終節>
「ニュージーランド vs オーストラリア」
9/28(土) 午後3:50~ WOWOWプライムWOD※生中継

「南アフリカ vs アルゼンチン」
9/28(土) 午後11:45~ WOWOWプライムWOD※生中継

※時間変更の場合あり


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・エディー・ジョーンズ
・田中史朗
・小野晃征


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