WBOインターコンチネンタル スーパー・ウェルター級王座決定戦 ティム・チュー対ジョーイ・スペンサー

世界戦2連敗後の再起戦
チューのパフォーマンスに要注目
前WBO世界スーパー・ウェルター級王者で現IBF同級10位のティム・チュー(30=オーストラリア)が、20戦19勝(11KO)1敗の戦績を残しているジョーイ・スペンサー(25=アメリカ)を相手に再起戦に臨む。昨年3月、チューはWBC暫定王者のセバスチャン・フンドラ(アメリカ)との試合で大流血のすえ12回判定負けを喫しWBO王座から陥落。約半年後、IBF王者のバカラン・ムルタザリエフ(ロシア)に挑んだが、4度のダウンを喫して3回TKOで惨敗。悪夢の世界戦2連敗から立ち直ることができるか。
躍進の2023年 暗転した2024年
元世界スーパー・ライト級王者、コンスタンチン・チュー(ロシア/オーストラリア)の息子としても知られるチューだが、2023年3月に世界王座を獲得してからは「ティム・チュー」として確かな存在感を示している。初防衛戦ではカルロス・オカンポ(メキシコ)を77秒で粉砕し、V2戦ではWBC暫定王者のブライアン・メンドサ(アメリカ)を12回判定で撃退。このまま突っ走るかと思われたが、意外にもフンドラに不覚をとり、ムルタザリエフには計4度のダウンを喫して完敗という結果に終わった。躍進の2023年から一転、2024年は最悪の年になってしまった。大流血が大きなハンディキャップになったフンドラ戦はともかく、ムルタザリエフ戦では左フックで最初のダウンを喫してダメージを引きずり、4度のカウントを聞かされたすえ最後はタオル投入というショッキングな幕引きだっただけに将来を不安視する声があるのも事実だ。そんななかチューが再起戦でどんなパフォーマンスを見せるのか注目される。
チューが攻めスペンサーが応戦か
チューの大事な再起戦の相手に選ばれたスペンサーは25歳の右ボクサーファイター型で、かつてはホープのひとりに挙げられたこともある。しかし、2年前にヘスス・ラモス(アメリカ)との全勝対決に7回TKOで完敗。その後は3連勝を収めており、こちらは再起路線を進んでいるところだ。バランスのとれた戦力を備えているが、一発のパワーに欠けるなど相手に警戒心を与えるものはない。ラモス戦後はミドル級の体重で戦っているが、重くなった自身の体をコントロールしきれていない印象が残る。
攻撃型のチューがプレッシャーをかけ、スペンサーが応戦するパターンが予想される。チューの持ち味である左ジャブに始まる多彩な連打が炸裂するか。6対1というオッズが出ているようにスペンサーは比較的リスクの少ない相手といえるが、チューの出来しだいでは混戦になる可能性もある。
<スーパー・ウェルター級トップ戦線の現状>
WBA :テレンス・クロフォード(アメリカ)
暫定 :ヨエニス・テレス(キューバ)
WBC :セバスチャン・フンドラ(アメリカ)
暫定 :バージル・オルティス(アメリカ)
IBF :バカラン・ムルタザリエフ(ロシア)
WBO :セバスチャン・フンドラ(アメリカ)
暫定 :テレンス・クロフォード(アメリカ)
IBFを除く3団体が暫定王座を設けており、しかもWBA王者のテレンス・クロフォード(37=アメリカ)がWBOではスーパー王者兼暫定王者の肩書を持つなど分かりにくい構図になっている。それでもクロフォードがこのクラスの第一人者であることは疑いようがない。ただ、154ポンド(約69.8kg)での実績は昨年8月のイスライル・マドリモフ(ウズベキスタン)に小差の12回判定勝ちの一度だけに留まっている。9月には2階級上のスーパー・ミドル級でサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)と対戦するプランが浮上しており、スーパー・ウェルター級での防衛戦、あるいは統一戦には興味がないのかもしれない。
そのクロフォードが41戦全勝(31KO)、WBA暫定王者のヨエニス・テレス(24=キューバ)が10戦全勝(7KO)、WBC暫定王者のバージル・オルティス(27=アメリカ)が23戦全勝(21KO)、IBF王者のバカラン・ムルタザリエフ(32=ロシア)が23戦全勝(17KO)と、4王者が無傷でいるのは特筆ものといえる。2団体王者のセバスチャン・フンドラ(27=アメリカ)も24戦22勝(14KO)1敗1分の好戦績を残している。どの組み合わせも興味深いものになりそうだが、統一戦の話が伝わってこないのが惜しまれる。
ランカー陣ではWBOから指名挑戦者に推されている21戦全勝(13KO)のザンダー・ザヤス(プエルトリコ)の威勢がいい。フンドラへの挑戦が決まるか。前WBO王者のティム・チュー(30=オーストラリア)はフンドラ、ムルタザリエフに連敗したが、地力は王者と同等のものがあり、今回の再起戦しだいで再び王座争いに加わる可能性がある。もうひとり、3年ぶりに戦線復帰した元WBA、WBC世界ウェルター級王者のキース・サーマン(36=アメリカ)にも注目したい。
<WBOインターナショナル ミドル級王座決定戦>
エンドリー・サーベドラ対ミッケル・ニールセン
<WBOインターコンチネンタル ミドル級王座決定戦>
マイケル・ゼラファ対バシル・アイ
ミドル級でWBO5位、IBF12位にランクされるエンドリー・サーベドラ(33=ベネズエラ)対WBO12位のミッケル・ニールセン(35=デンマーク)はWBOインターナショナル王座決定戦として行われる。
2016年リオデジャネイロ五輪に出場した実績を持つサーベドラは18戦16勝(13KO)1敗1分の強打者で、直近の2試合は世界ランカーを相手に8回TKO勝ち、10回引き分けと力のあるところを見せている。15戦13勝(5KO)2敗のニールセンは昨年5月にWBO欧州王座を獲得して15傑入りしたが、ランキングが先行している印象は拭えない。ヨーロッパを出て初の試合は厳しいものになりそうだ。
世界挑戦経験もあるマイケル・ゼラファ(33=オーストラリア)は、べシル・アイ(35=ドイツ)と空位のWBOインターコンチネンタル ミドル級王座を争う。昨年3月、エリスランディ・ララ(キューバ)の持つWBA世界ミドル級王座に挑んで2回KOで完敗したゼラファは5ヵ月後の再起戦で世界挑戦経験者のトミー・ブラウン(オーストラリア)に1回終了TKO勝ち。自信を取り戻して今回の試合に臨む。一方のアイは昨年10月にマイナー団体IBOのインターコンチネンタル ミドル級王座を獲得するなど20戦19勝(9KO)1敗の戦績を残しているが、世界的な強豪との対戦経験は皆無といえる。
WBA8位にランクされるゼラファが地力の差を見せつけそうだ。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング
WBOインターコンチネンタル S・ウェルター級王座決定戦
ティム・チュー vs ジョーイ・スペンサー
5/19(月)午後9:00
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