IBF世界フライ級挑戦者決定戦 フェリックス・アルバラード対トビアス・レイジェス
KO率78%の元王者 vs KO率88%の「闘犬」
打撃戦必至の注目カード
元IBF世界L・フライ級王者のフェリックス・アルバラード(35=ニカラグア)と、南米王者のトビアス・レイジェス(26=アルゼンチン)がIBF世界フライ級王座への挑戦権をかけて拳を交える。2階級制覇に照準を合わせるIBF3位、WBO5位、WBC6位のアルバラードと、「ピットブル(闘犬)」の異名を持つIBF5位、WBO4位、WBC9位のレイジェス。攻撃型同士のカードだけに打撃戦は必至だ。
世界戦で2度の来日経験を持つカニサレス
アルバラードはS・フェザー級のレネ・アルバラードとともに双子の兄弟世界王者として知られる。プロキャリアは約15年。この間、6度の世界戦を経験している。2013年12月に来日して井岡一翔(井岡⇒志成)の持つWBA世界L・フライ級王座に挑んで12回判定負け。半年後、今度はアルゼンチンでフライ級のWBA王座に挑んだが、ファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)に同じく判定で敗れた。再起後、15連勝(14KO)を収めてIBF世界L・フライ級王座決定戦に出場するチャンスをつかんだ。ここでランディ・ペタルコリン(フィリピン)に7回TKO勝ち、29歳で初戴冠を果たした。2019年5月の初防衛戦では再来日して小西伶弥(真正)に12回判定勝ちを収めている。この年の暮れ、WBC王者の寺地拳四朗(BMB)との統一戦が決まったが、デング熱による気管支炎のため出場を辞退した経緯がある。
その後、フライ級に転向し、2022年11月には相手国でサニー・エドワーズ(イギリス)の持つIBF王座に挑んだが、小差の判定で敗退。約1年後、メキシコに遠征してIBF挑戦者決定戦に出場したが、アンヘル・アヤラ(メキシコ)に惜敗した。今回はそのアヤラに対する挑戦権をかけた試合だけにモチベーションは高いものがあるはずだ。戦績は45戦41勝(35KO)4敗。
若くて勢いのあるレイジェス
対照的にレイジェスは2021年9月のプロデビューで、17戦16勝(15KO)1分のレコードを残している。引き分けは世界挑戦経験者のクリスチャン・ゴンサレス(メキシコ)と相手国で戦ったときのもので、これは自国を出て戦った唯一の試合でもある。その後は3連続KO(TKO)勝ちを収めている。
両グローブを胸から顔面の前で上下させながらリズムを刻み、飛び込んで左右フックを強振することが多い。距離とチャンスをつかむと一気に畳みかける攻撃型だが、様子見の時間が長いのも特徴といえる。
スリリングな打撃戦に突入か
攻撃型同士のカードだが、経験に加え地の利もあるアルバラードが有利であることは間違いない。いつものように上体を大きく振りながらプレッシャーをかけ、角度のある左右フックを顔面、ボディに打ち分けられるか。やや変則的なタイミングで繰り出すレイジェスの左右フックには注意が必要だ。78パーセントのKO率を残しているアルバラードとKO率88パーセントのレイジェス。スリリングな打撃戦が見られそうだ。
<フライ級トップ戦線の現状>
WBA :ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)
WBC :寺地拳四朗(BMB)
WBC暫定:ガラル・ヤファイ(イギリス)
IBF :アンヘル・アヤラ(メキシコ)
WBO :アンソニー・オラスクアガ(アメリカ/帝拳)
WBC暫定王者のガラル・ヤファイ(32=イギリス)を含め5人の王者全員が2024年に王座を獲得しており、新鮮味がある階級といえる。すでに2度の防衛を果たしているWBA王者のユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)は右強打に定評のある正統派で、2階級制覇を果たしたWBC王者の寺地拳四朗(33=BMB)はテクニックをベースにしたボクシングで打撃戦も技術戦もこなせる。ヤファイは2021年東京五輪金メダリストで、プロでは9戦全勝(7KO)をマークしている。積極的なボクシングをするサウスポーだ。
IBF王者のアンヘル・アヤラ(24=メキシコ)は昨年8月、20戦全勝(14KO)だったデーブ・アポリナリオ(24=フィリピン)のボディを執拗に攻めて6回KO勝ち、戴冠を果たした。18戦全勝(8KO)。WBO王者のアンソニー・オラスクアガ(26=アメリカ/帝拳)は馬力が自慢のファイターで、直近の4試合を日本で行っている。
こうした中、今回のフェリックス・アルバラード対トビアス・レイジェスの試合は、アヤラへの挑戦権をかけて行われる。アルバラードは2023年10月にメキシコでアヤラとIBF王座への挑戦権をかけて戦い12回判定負けを喫している。ジャッジ三者が一致して114対113の1ポイント差でアヤラを支持するという際どい勝負だった。加えてリング上では一度は「勝者アルバラード」とコールされたものの間違いであることが判明。すぐに「勝者アヤラ」と訂正された経緯がある。因縁の再戦に向かうことができるか注目される。
WBAコンチネンタル北米S・フェザー級タイトルマッチ
レイモンド・フォード対オルランド・ゴンサレス
階級上げて再起戦に臨むフォード
前WBA世界フェザー級王者で、WBA同級5位、IBF7位、WBO12位にランクされるレイモンド・フォード(25=アメリカ)が、1階級上げてオルランド・ゴンサレス(29=プエルトリコ)との再起戦に臨む。WBAコンチネンタル北米S・フェザー級王者のゴンサレスはWBA同級9位にランクされている。サウスポーの世界ランカー対決ということになるが、フォードにとっては楽観視できない試合といえる。
フォードは2024年3月、オタベク・ホルマトフ(ウズベキスタン)とのWBA世界フェザー級王座決定戦に出場し、12回TKO勝ちで戴冠を果たした。11回を終わった時点では相手にリードを許している中、最終回も残り7秒という時点での劇的な逆転TKO勝ちだった。サウジアラビアで行われた3ヵ月後の初防衛戦ではニック・ボール(イギリス)に惜敗したが、大きく評価を落とす内容ではなかった。これを機にS・フェザー級転向を決意し、今回の試合に臨む。17戦15勝(8KO)1敗1分とKO率は5割に満たないが、その数字以上に攻撃力がある。
ゴンサレスは2016年7月にプロデビューし、ここまで25戦23勝(13KO)2敗の戦績を残している。敗北のひとつは、五輪2大会金でのちに世界王者になるロベイシ・ラミレス(キューバ)に喫したものだ。直近の5試合はすべて勝っている。バランスのとれた戦力を備えているが、逆に飛び抜けたものが感じられないのも事実だ。
攻撃力で勝るフォードが仕掛け、ゴンサレスが迎え撃つ展開が予想される。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
IBF世界フライ級挑戦者決定戦
フェリックス・アルバラード vs トビアス・レイジェス
WBAコンチネンタル北米S・フェザー級タイトルマッチ
レイモンド・フォード vs オルランド・ゴンサレス
1/27(月)午後9:00
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