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S・ミドル級10回戦 ハイメ・ムンギア対ブルーノ・スレイス

元世界王者 vs EBU欧州シルバー王者
オッズは20対1

 元WBO世界S・ウェルター級王者で現在は2階級上のS・ミドル級でWBC2位、WBO3位、WBA4位、IBF5位にランクされるハイメ・ムンギア(28=メキシコ)が、無名のフランス人、ブルーノ・スレイス(26)と対戦する。本来ならばミスマッチといわれかねないカードだが、ムンギアが生まれ育ったメキシコのバハカリフォルニア州ティファナでの開催ということで、凱旋試合の意味合いが強い。もともとムンギア陣営は世界挑戦経験者のロナルド・ガブリル(ルーマニア)と対戦交渉していたが頓挫。代わりにスレイスに白羽の矢が立った経緯がある。

アルバレスに敗戦後の再起第2戦

 ムンギアは2018年5月にサダム・アリ(アメリカ)を4回TKOで破り、21歳でWBO世界S・ウェルター級王者になった。この王座は井上岳志(ワールドスポーツ)らを相手に5度防衛後に返上。しばらくはミドル級で挑戦を目論んでいたが王者たちとタイミングが合わず、さらに上のS・ミドル級に転向した。2024年5月、世界的なスター選手、サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)に挑んだが、4回にダウンを喫して12回判定で敗れた。これが45戦して唯一の敗北だ(44勝35KO1敗)。アルバレス戦の4ヵ月半後、無敗の世界ランカー、エリック・バジニャン(アルメニア/カナダ)に10回KO勝ちを収めて再起を果たしている。

多くのハンディキャップを背負うスレイス

 スレイスは2016年10月にプロデビューし、5年後にミドル級のフランス国内王座を獲得。その後、S・ミドル級に転向したが、2023年から再びミドル級で活動し、その年の暮れには12回TKO勝ちでEBU欧州シルバー王座を獲得している。これが2019年12月以来となる10試合ぶりのKO(TKO)勝ちだった。戦績は27戦25勝(4KO)2分。
 無敗とはいえスレイスはフランスを出て戦ったことがなく、しかも今回は完全アウェーという厳しい条件下の試合となる。さらに現在のベストウェイトはミドル級とあって、すっかりS・ミドル級に慣れたムンギアが相手ではハンディキャップが大きすぎるという見方が大勢を占めている。

KO率は78%対15% オッズは20対1

 両者を比較した場合、経験値に地の利を含めた総合力に大差があることは事実だ。特にパワーには埋めきれないほどの差がある。それはKO率に表れている。飛び込んで放つ右ストレートや左右フック、アッパーなど攻撃力が自慢のムンギアが78パーセントのKO率を残しているのに対し、左右にステップしつつ左ジャブから右ストレート、右フックという連携に頼るスレイスのKO率は15パーセントに満たないのだ。20対1というオッズが出ているのも当然といえよう。

<S・ミドル級トップ戦線の現状>


WBAスーパー:サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
WBA暫定         :ケイレブ・プラント(アメリカ)
WBC                  :サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
IBF                     :ウィリアム・スクール(キューバ)
WBO                 :サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)


 依然として4階級制覇の実績を持つサウル・カネロ・アルバレス(34=メキシコ)が圧倒的な存在感を維持している。指名試合を拒否したとしてIBF王座を失ったが、ドイツを拠点に活動するIBF新王者のウィリアム・スクール(32=キューバ)とは力の差がありそうだ。スクールは23戦全勝(9KO)の技巧派だが、もしも対戦が実現したとしてもアルバレスが圧倒してしまうだろう。
 34歳になったアルバレスにとって幸運だったのは、若くて勢いのあるデビッド・モレル(26=キューバ)とデビッド・ベナビデス(28=アメリカ)が対戦を待ち切れなくてL・ヘビー級に転向していったことであろう。もちろんアルバレスがモレルとベナビデスのふたりと戦って勝ち抜く可能性は十分にあったが、敗れるか、勝っても大きなダメージを被る危険性も考えられるカードだった。2022年以降、慎重に相手を選びながらドミトリー・ビボル(34=キルギス/ロシア)に敗れた試合を含め6試合連続で判定決着が続いているアルバレスにとって危険分子が減ったことは間違いない。
 かといって今後も王座が安泰かというと、その保証はない。現時点で最も危険なのは28戦全勝(23KO)のクリスチャン・エムビリ(29=カメルーン/フランス)だろう。WBA1位、WBC1位、IBF3位、WBO2位にランクされるエムビリはパンチの繋ぎが速い強打者で、2025年には勝負をかけて出るものと思われる。
 このほかハイメ・ムンギア、13戦全勝(12KO)のサウスポーの長身強打者、オスレイス・イグレシアス(27=キューバ)、22戦全勝(18KO)の攻撃型、ディエゴ・パチェコ(23=アメリカ)らにも注目したい。

S・バンタム級10回戦
アラン・ピカソ対ジェイソン・クェジョ

井上尚弥の対戦候補ピカソ
存在感示せるか

 WBC世界S・バンタム級1位、WBO8位のアラン・ピカソ(24=メキシコ)が、16戦13勝(11KO)2敗1分のサウスポー、ジェイソン・クェジョ(29=コロンビア)と対戦する。春にアメリカで試合をする可能性が高まっている井上尚弥(大橋)の相手として急浮上しているピカソが、どんなパフォーマンスを見せるのか要注目だ。
 ピカソは2017年3月に16歳8ヵ月でプロデビューし、31戦30連勝(16KO)1分の戦績を残している。この引き分けは2018年3月に記録されたもので、リング上では相手の4回TKO勝ちが宣せられたものの3年後に「4回負傷引き分け」に変更されている。173cmの長身で、ワンツー、左ボディブロー、接近してからは左右アッパーを突き上げることが多い。若くてイケメン、メキシカンらしく勇敢でスターの雰囲気を漂わせている選手だ。
 もともとピカソは元世界ランカーのアイザック・サッキー(ガーナ)との対戦話を進めていたが、交渉がまとまらなかったためクェジョと拳を交えることになった。2018年10月にプロデビューしたクェジョは引き分けを挟んで9連勝(9KO)を収めたこともあるサウスポーの強打者だが、直近の試合で8回TKO負けを喫しており、これが再起戦となる。
 ピカソが井上を脅かす存在といえるのかどうか、要注目だ。


S・ウェルター級10回戦
ホルヘ・ガルシア対クドラティロ・アブドカホロフ

KO率74%のWBO7位 vs 元世界1位の「Punisher」

 WBO世界S・ウェルター級7位にランクされるホルヘ・ガルシア(27=メキシコ)が、元IBF世界ウェルター級1位のクドラティロ・アブドカホロフ(31=ウズベキスタン)と対戦する。
 ガルシアは2013年8月にプロデビューしてから11年で35戦31勝(26KO)4敗の戦績を残している強打者で、このところ6連勝(5KO)と勢いがある。直近の試合では元世界ランカーのイリアス・エサウディ(ドイツ)に1回KO勝ちを収めている。
 「The Punisher(懲罰を与える男)」というニックネームを持つアブドカホロフは2019年3月、小原佳太(三迫)とのIBF世界ウェルター級挑戦者決定戦で12回判定勝ちを収めるなど18連勝をマークしたこともある。世界が見えた矢先に伏兵、コディ・クローリー(カナダ)の技巧に絡め取られて判定負け。次戦でも敗れ、再起2勝後、2024年5月にも10回判定負けと2021年以降は武運から見放されている印象だ。戦績は23戦20勝(12KO)3敗。
 KO負けのないタフガイ同士だけに体力勝負になりそうだ。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


S・ミドル級10回戦
ハイメ・ムンギア vs ブルーノ・スレイス

1/20(月)午後9:00 WOWOWプライムWOD


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