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WBC世界S・フライ級タイトルマッチ ジェシー・ロドリゲス対ペドロ・ゲバラ

24歳の正王者 vs 35歳の暫定王者
2階級制覇王者同士の団体内王座統一戦

 2024年6月に軽量級のビッグネーム、ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)に7回KO勝ちを収めてWBC世界S・フライ級王者になったジェシー・ロドリゲス(24=アメリカ/帝拳)が、その1ヵ月前にWBC同級暫定王座を獲得したペドロ・ゲバラ(35=メキシコ)と対戦。勝者が団体内の王座を統一することになる。

2階級で3度戴冠のロドリゲス

 ロドリゲスは元WBA世界S・フライ級王者のジョシュア・フランコの弟で、兄弟で同じ階級の世界王座を獲得したことになる。
2017年3月にプロデビューし、2022年2月にカルロス・クアドラス(メキシコ)を破ってWBC世界S・フライ級王者になった。このときは前座に出場するために調整していたが、クアドラスと対戦する予定のシーサケット・ソールンビサイ(タイ)が出場不可となったため、ロドリゲスが体重を上げて王座決定戦に出場した経緯がある。初防衛戦ではシーサケットを完膚なきまでに打ちのめし(8回TKO)、その3ヵ月後にはV2にも成功。その後、王座を返上してフライ級に戻り、WBOとIBF王座を獲得した。そして再び階級を上げ、その初戦でエストラーダから王座を奪ったわけだ。
 サウスポーのボクサーファイター型だが、機を見て構えを右に変えることもある。攻撃が魅力の選手で、細かく立ち位置を変えながらストレート、フック、そして死角から突き上げるアッパーなどバリエーションの幅は広い。24歳と若いが、すでに6度の世界戦を経験している。通称は「Bam(バム)」。戦績は20戦全勝(13KO)。

八重樫、木村、寺地と対戦しているゲバラ

 ゲバラは2008年3月にプロデビューしたベテランで、世界15傑入りしていた2012年にはメキシコの司法書士(弁護士)の資格を取得している。その年、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)の持つIBF世界L・フライ級王座に挑んだが、このときは初回に喫したダウンの失点が響き12回判定で敗れた。2014年12月、来日してWBC同級王座決定戦に出場し、八重樫東(大橋)にボディブローで7回KO勝ち、戴冠を果たした。V3戦で再来日したが、木村悠(帝拳)に僅少差の判定で敗れ王座から陥落。2年後、寺地拳四朗(BMB)に渡っていたWBC世界L・フライ級王座に挑んだが、小差の判定で涙を飲んだ。
 これを機に階級を上げ、2023年11月にはカルロス・クアドラスとS・フライ級のWBC暫定王座を争ったが惜敗。しかし、2024年5月、敵地でアンドリュー・マロニー(オーストラリア)に競り勝ち、2階級制覇を成し遂げた。
 顔面、ボディの打ち分けが巧みな技巧派強打者で、12ラウンドをフルに12度戦い切るなど長丁場の戦い方も心得ている。戦績は47戦42勝(22KO)4敗1分。

ロドリゲスがテンポの速い攻撃でペース掌握か

 ゲバラの経験と総合力を侮るのは危険だが、いまのロドリゲスの勢いを考えると正王者が圧倒的に有利であることは間違いない。なにしろ先のエストラーダ戦でも5対1のオッズで有利と見られていたほどだ。今回のゲバラ戦のオッズは16対1と出ているが、それも当然なのかもしれない。それほどロドリゲスの評価は高いのだ。
 ロドリゲスが左右どちらの構えでスタートするかは分からないが、テンポの速い攻撃で主導権を握る可能性が高い。ゲバラは後手にまわることなく攻めたいが、速攻型ではないため序盤から厳しい戦いを強いられそうだ。

<S・フライ級トップ戦線の現状>


WBA         :フェルナンド・マルチネス(アルゼンチン)
WBA暫定:ダビド・ヒメネス(コスタリカ)
WBC         :ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)
WBC暫定:ペドロ・ゲバラ(メキシコ)
IBF            :空位
WBO         :プメレレ・カフ(南アフリカ)


 このクラスは2024年の1年間に4団体すべてでベルトの持ち主が変わった。WBAは井岡一翔(35=志成)からフェルナンド・マルチネス(33=アルゼンチン)、WBCはファン・フランシスコ・エストラーダ(34=メキシコ)からジェシー・ロドリゲスに覇権者が変わった。IBFはマルチネスが王座を返上し、これを受け12月に日本で決定戦が行われたが、引き分けという結果に終わった。WBOは田中恒成(29=畑中)が2月に決定戦を制して4階級制覇を果たしたが、10月の初防衛戦でプメレレ・カフ(26=南アフリカ)に王座を明け渡してしまった。加えてWBAとWBCで暫定王者が誕生し、混戦模様といったいいかもしれない。
こうしたなか若くて無敗のロドリゲスに注目が集まる。単にS・フライ級の平定だけでなく、近い将来のバンタム級進出を含めて大きな期待が寄せられている。
 ランカーでは4階級制覇の実績を持つローマン・ゴンサレス(37=ニカラグア/帝拳)、返り咲きを目指す田中恒成のほか日本王者の高山涼深(28=ワタナベ)、WBOアジアパシフィック王者の川浦龍生(三迫)らがいる。

IBF世界ウェルター級タイトルマッチ
ジャロン・エニス対カレン・チュカジャン


王座決定戦以来1年10ヵ月ぶりの再戦
「KO防衛」がノルマのエニス


 テレンス・クロフォード(アメリカ)がS・ウェルター級に転向し、かつて2強と呼ばれたエロール・スペンス(アメリカ)はクロフォードに敗れたあと再起戦も決まらず、バージル・オルティス(アメリカ)もS・ウェルター級に転向。こうしたなかジャロン・エニス(27=アメリカ)は現在のウェルター級で飛び抜けた存在であるといっていいだろう。
エニスは身長178cm、リーチ188cmという恵まれた体格の持ち主で、右に左にと構えを変えながら強くて速いパンチを顔面、ボディに打ち分けていく。遠い距離でも戦えるが、直近のダビド・アバネシャン(ロシア/アルメニア)戦ではリスクを承知で正面から接近戦を仕掛け、世界挑戦経験者を5回終了で棄権に追い込んだ。被弾ゼロというわけにはいかなかったが、柔軟なボディワークやブロッキングで相手のパンチの多くを無効にし、同時にコンパクトに腕を畳んでフックやアッパーを叩き込むという内容だった。戦績は33戦32勝(29KO)1無効試合。
 チュカジャンはウクライナでプロデビューし、その後はロシア(2試合)やドイツ(4試合)をこなしたあと2023年1月にアメリカでエニスと対戦して12回判定負け。スペインで再起戦を行い、再びドイツで2試合して今回の再戦を迎えることになった。
エニスとの初戦では足を使いながらカウンターや相手の打ち終わりを狙ったが、ほぼ勝機を見出せないままジャッジ三者一致の120対108の完封負けを喫した。本来ならば再戦は難しいところだが、チュカジャンが直近の試合で世界ランカーに勝ってIBF1位にランクされていること、そしてエニスとの対戦を望む強豪が少ないことなどから今回のリマッチが実現することになったと考えられる。
 エニスにとってはKO勝ちがノルマともいえる試合だが、完敗を喫していながら再戦を決意したチュカジャンの意気込みは侮れない。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


WBC世界S・フライ級タイトルマッチ
ジェシー・ロドリゲス vs ペドロ・ゲバラ

IBF世界ウェルター級タイトルマッチ
ジャロン・エニス vs カレン・チュカジャン

1/13(月・祝)午後9:00 WOWOWプライムWOD


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