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WBC米国/IBF・WBOインターコンチネンタル ライト級タイトルマッチ キーション・デービス対グスタボ・レモス

速射砲 vs パワー
世界上位ランカー対決

 2021年に開催された東京五輪ライト級で銀メダルを獲得し、プロでは12戦11勝(7KO)1無効試合を記録しているキーション・デービス(25=アメリカ)と、30戦29勝(19KO)1敗のスラッガー、グスタボ・レモス(28=アルゼンチン)が三つの地域王座をかけて拳を交える。デービスがWBC、IBF、WBO3団体で3位、レモスがIBF5位、WBC9位、WBO13位にランクされており、勝者が世界挑戦に近づく重要な試合と位置づけられる。

体格と才能に恵まれたデービス

 デービスは全米選手権優勝、全米ゴールデングローブ大会優勝、世界選手権準優勝など輝かしいアマチュア実績を残している。プロで3勝してから東京五輪に出場し、銀メダル獲得後に再びプロとして活動中だ。身長175cm、リーチ178cmという恵まれた体格から速い左ジャブ、右ストレート、左フック、アッパー、左右のコンビネーションと攻撃が多彩で、上下の打ち分けも巧みだ。チャンス時に繰り出すパンチはさながら速射砲といった印象がある。自分でプレッシャーをかけて距離をつくるだけでなく、自ら下がりながら空間をつくることができるのも強みといえよう。一発のパワーに欠けるため直近の6戦の決着が8回判定、9回TKO、10回判定、10回無効試合、6回TKO、10回判定と長引いているが、その分、駆け引きやスタミナ配分などの点で経験値を上げているともいえる。
 まだ成長途上ではあるが、今年2月に元2階級制覇王者のホセ・ペドラサ(プエルトリコ)、7月にWBO4位のミゲール・マドゥエノ(メキシコ)に圧勝しており、このままいけば2025年には大舞台に上がる可能性が高まっている。

直近の17戦で15KO勝ちのレモス

 レモスはプロデビューから13戦は13勝(4KO)とKO率は低かったが、以後の16戦で16勝(15KO)をマークして強打者のイメージを定着させた。2022年3月には元IBF世界フェザー級王者のリー・セルビー(イギリス)をアルゼンチンに招いてIBF世界ライト級挑戦者決定戦を行い、計3度のダウンを奪って5回TKO勝ちを収めている。今年4月には初めてアメリカのリングに上がり、2016年リオデジャネイロ五輪ハイチ代表のリチャードソン・ヒッチンス(アメリカ)と対戦。最後まで競ったが小差の12回判定負けを喫している。このIBF世界S・ライト級挑戦者決定戦がプロで唯一の敗北だ。今回が再起戦となる。
 身長167cmとライト級では小柄だが、両ガードを高めに置いた構えで前進し、飛び込んで左右フックを強振するファイター型だ。ヒッチンス戦では左構えにスイッチするシーンもあったが、基本的には小細工するタイプではない。

オッズは5対1 デービス有利

 スピードとスキルに秀でたデービスに対し、パワーのレモスという構図になる。レモスは前戦で長身のヒッチンスのアウトボクシングを崩し切れなかったが、その点はデービスもチェック済みだろう。5対1というオッズが出ているようにデービスがレモスの強打を封じ込めると見る向きが多い。ただ、デービスはロングレンジよりも中近距離での戦いを好む傾向があるため、リスクを冒してKO狙いに出てくる可能性がある。そうなった場合はレモスにもチャンスが出てきそうだ。

<ライト級トップ戦線の現状>


WBA:ジャーボンテイ・デービス(アメリカ)
WBC:シャクール・スティーブンソン(アメリカ)
IBF   :ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
WBO:デニス・ベリンチク(ウクライナ)


 WBAのジャーボンテイ・デービス(30=アメリカ)、WBCのシャクール・スティーブンソン(27=アメリカ)、IBFのワシル・ロマチェンコ(36=ウクライナ)と3階級制覇王者3人がトップに君臨しており、なかなか充実したクラスといえる。ただ、数年前からこうしたスター選手同士の直接対決が期待されていながら実現に至っていないのも事実で、それの点は少々残念な気もする。現時点でもデービスは来年3月にWBA世界S・フェザー級王者のラモント・ローチ(29=アメリカ)と、スティーブンソンは来年2月に18戦全勝(12KO)でWBA2位のフロイド・スコフィールド(22=アメリカ)との防衛戦が決定。また、2025年2月に37歳になるロマチェンコは次戦が未定と伝えられる。この流れでいくと3強の直接対決が実現するとしても早くて来年夏頃となりそうだ。
 こうした一方、WBC、IBF、WBO3団体で3位につけているキーション・デービスがWBO王者デニス・ベリンチクに挑戦するプランが浮上している。もちろん今回のグスタボ・レモス戦をクリアすることが大前提だ。
 WBC2位、IBF4位、WBO2位にランクされるレイモンド・ムラタラ(27=アメリカ)も勢いがあり、王者たちを脅かす存在になっている。このほか東京五輪金のアンディ・クルス(29=キューバ)、スティーブンソンに善戦したエドウィン・デ・ロス・サントス(25=ドミニカ共和国)らが控えている。

NABO北米ミドル級タイトルマッチ
トロイ・アイズリー対タイラー・ハワード


「トランスフォーマー」vs「ハーキュリーズ」
東京五輪戦士アイズリーに注目

 ミドル級でWBO10位、WBC11位にランクされるトロイ・アイズリー(26=アメリカ)が、プロ14連勝をかけてタイラー・ハワード(30=アメリカ)と対戦する。
 アイズリーはアマチュア時代に全米選手権で2度優勝するなどしたあと2021年2月にプロに転向。2勝後、東京五輪に出場(ミドル級16強)し、大会後は再びプロで活動している。トップランク社が推しているホープということで、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)やシャクール・スティーブンソン(アメリカ)の前座で顔見世をしながら13戦全勝(5KO)を収めている。まだハードなマッチメークはないが、今年6月には初の10回戦でNABO北米ミドル級王座を獲得するなど順調な歩みをみせている。押したり引いたりしながら相手の隙を突いて多彩なブローを当てていくタイプで、上体を巧みにつかうなどディフェンス技術にも長けている。ただ、戦績が物語るようにパワーが不足気味で、そのあたりが課題といえそうだ。
 ハワードは2012年7月にプロデビューし、4回戦を5度、6回戦を10度、8回戦を6度こなし、22戦目の今回が初の10回戦となる。戦績は21戦20勝(11KO)1敗。この1敗(8回判定負け)は2021年11月に喫したもので、その後、1年9ヵ月のブランクを経て昨年8月に8回判定勝ちで戦線復帰を果たした。これが再起第2戦となる。「ハーキュリーズ(ヘラクレス)」というニックネームを持つが、そこまでの迫力は感じられない。前に出て右を狙う攻撃スタイルは比較的シンプルだ。
 ともに中間距離での攻防を好む傾向があるため序盤からテンポの速い攻防が見られそうだ。スピードとスキルで勝るアイズリーがポイントを重ねる可能性が高い。


ライト級8回戦
アブドゥラー・メイソン対ヨハン・バスケス


20歳の逸材 vs 「カリブの猛獣」
KO決着間違いなしのカード

 将来の世界王者候補として注目度が上がっているWBC世界ライト級25位のアブドゥラー・メイソン(20=アメリカ)が、プロ16連勝をかけてヨハン・バスケス(30=ドミニカ共和国)と対戦する。
 メイソンは2021年11月に17歳でプロデビューしたサウスポーで、身長175cm、リーチ188cmと恵まれた体格の持ち主でもある。しかし、性格的なものか戦いぶりは積極的で、自ら接近戦を仕掛けて序盤からハイペースで飛ばすことが多い。相手との力量差の問題もあるが2回以内のKO勝ちが9度もある。戦績は15戦全勝(13KO)。
 バスケスは2012年のプロデビューから12年間で31戦26勝(21KO)5敗の戦績を残している。コロナ禍のなか、目立った実績もないままWBA15傑に入ったこともあるが、2022年から翌年にかけて3連敗を経験。しかし、今年4月の再起戦では30戦全勝の元世界ランカー、カミル・ラツジク(ポーランド)に2回KO勝ちを収め強打者ぶりをみせている。ニックネームは「La Fiera(ラ・フィエラ=猛獣)」。
 才能と自信にあふれるメイソンが早々に仕掛け、経験豊富なバスケスが応戦する展開になりそうだ。メイソンが一気にKOに持って行くのか、それとも猛獣が隙を突いて噛みつくのか。KO決着間違いなしのカードだ。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


WBC米国/IBF・WBOインターコンチネンタル ライト級タイトルマッチ
キーション・デービスvsグスタボ・レモス

12/16(月)午後9:00 WOWOWライブWOD

◆最新の放送・配信予定などはこちらから◆


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