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4団体統一世界S・バンタム級タイトルマッチ 井上尚弥対TJ・ドヘニー

「モンスター」vs「ザ・パワー」
井上にとっては23度目の世界戦

 4階級制覇、2階級にわたる4団体王座統一など数々の記録を樹立している井上尚弥(31=大橋)が、元IBF世界S・バンタム王者のTJ(テレンス・ジョン)・ドヘニー(37=アイルランド)を相手に同級4団体王座の防衛戦に臨む。「モンスター」と「ザ・パワー」の対決だ。

世界戦22戦全勝(20KO)

 井上はL・フライ級から現在のS・バンタム級まで4階級にわたり22度の世界戦を行い、22勝(20KO)という数字を残している。5月のルイス・ネリ(メキシコ)戦ではアマチュア、プロを通じて初めてのダウンを喫したが、逆に3度のダウンを奪い返して6回TKO勝ち。一度のミス以外は圧倒的な強さを見せつけた。その試合を含め8連続KO勝ちと勢いは続いている。
 もともと今回はIBFとWBOで1位にランクされるサム・グッドマン(オーストラリア)との防衛戦が濃厚と報じられていたが、グッドマンが7月に一戦挟むことになったためドヘニーに出番が回ってきたという経緯がある。大きな注目を集めたネリ戦の次の試合ということで井上にとってはモチベーションのキープが難しい面がありそうだが、逆に井上は「大きな試合後ということで気が抜けない」と自分を戒めている。戦績は27戦全勝(24KO)。

岩佐、中嶋らを下した日本人キラーのドヘニー

 挑戦者のドヘニーは井上より半年早い2012年4月にプロデビューし、12年間に30戦26勝(20KO)4敗の戦績を収めている。2018年8月に後楽園ホールで岩佐亮祐(セレス)に12回判定勝ちを収めてIBF世界S・バンタム級王座を獲得し、初防衛戦では高橋竜平(横浜光)の挑戦を11回TKOで退けている。次戦でWBA王者のダニエル・ローマン(アメリカ)に敗れて王座を失った。その後、イオヌット・バルータ(ルーマニア)に8回、WBA世界フェザー級暫定王座決定戦でマイケル・コンラン(イギリス/アイルランド)に12回、さらに地域王座戦でサム・グッドマンに10回、いずれも判定で敗れた。ローマン戦を含め6戦して4敗というどん底を経験したわけだ。
 ところが、昨年6月に来日してWBOアジアパシフィック王者の中嶋一輝(大橋)に4回TKO勝ちを収めて息を吹き返し、次戦では井上のスパーリング相手であり将来の世界王者候補と目されたジャフェスリー・ラミド(アメリカ)に左オーバーハンド一撃でTKO勝ち。さらに今年5月には体重超過の前科があるネリのリザーバーとして待機しつつリングに上がり、無敗のフィリピン人選手を4回TKOで下している。このところ日本のリングで3連続KO勝ちを収め復調を印象づけているのだ。
 そんな挑戦を迎える井上は、「中嶋とラミドが倒されているので気が抜けない相手。一発は警戒しつつ、一発も触れさせずに自分のボクシングをする」と宣言している。

<S・バンタム級トップ戦線>


WBA:井上尚弥(大橋)
WBC:井上尚弥(大橋)
IBF   :井上尚弥(大橋)
WBO:井上尚弥(大橋)

 昨年12月以降、井上尚弥が4本のベルトを束ねている状態が続いている。5月のルイス・ネリ(29=メキシコ)でアマチュア、プロを通じて初のダウンを喫したが、みごとなリカバリーをみせ、3度のダウンを奪い返して6回TKO勝ち。しっかりと力の差を見せつけた。今回のTJ・ドヘニーは海外のスポーツブックでは33対1、あるいは25対1のオッズがつくほどで、あらためて「モンスター」の存在が圧倒的なものであることを証明している。
 その井上に盛んに対戦要求をしているのが元WBA・IBF王者で現WBA1位、WBC4位、IBF4位、WBO8位のムロジョン・アフマダリエフ(29=ウズベキスタン 13戦12勝9KO1敗)だ。テクニックと強打を併せ持ったサウスポーの実力者だが、個々の戦力と総合力では井上に及ばない。
 IBFとWBOで1位にランクされるサム・グッドマン(26=オーストラリア)はデビューから19連勝(8KO)を収めている成長途上の選手で、ドヘニー、ライース・アリーム(34=アメリカ)ら元世界王者にも勝っている。正統派の好選手ではあるが、迫力不足の印象は拭えない。
 同様のことは16戦全勝(8KO)のWBA14位、WBC5位、IBF5位、リアム・デービース(28=イギリス)にもいえる。あと1年、または2年でどこまで伸びるか。

WBO世界バンタム級タイトルマッチ
武居由樹対比嘉大吾


KO率89%の王者 vs KO率79%の挑戦者
初防衛か2階級制覇か

 5月にジェイソン・マロニー(オーストラリア)を破ってプロ9戦目でWBO世界バンタム級王者になった武居由樹(28=大橋)の初防衛戦。WBO同級1位にランクされる元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(29=志成)は2階級制覇を狙っての挑戦となる。
 K-1からボクシングに転向した武居はプロキャリア約3年で世界一の座に就いたサウスポーの強打者で、マロニー戦まで8戦全KO勝ちだった。戴冠試合では初の12ラウンドを経験し、その最終回にはダウン寸前の大ピンチに陥ったが踏ん張って勝者コールを聞いた。比嘉とは合同トレーニングで一緒に汗を流したこともある間柄で、もちろん危険な相手であることは承知している。発表会見の席では「(比嘉は)ガンガン前に出てくる気が強いハードパンチャー。客観的に見て面白いカードだと思う。ワクワクしている」とコメント。
 その比嘉はデビューから13連続KO勝ちでWBC世界フライ級王座を獲得し、初防衛戦、V2戦もKOで終わらせて連続KOを日本タイ記録の15まで伸ばした。しかし、16戦目を前に体重超過のため計量で失格、王座を失った。試合でもクリストファー・ロサレス(ニカラグア)に9回TKOで敗れた。
 2年近いブランク後、バンタム級に転向。最初の4戦は2勝1敗1分だったが、2022年以降は4連勝(2KO)と調子を上げている。戦績は24戦21勝(19KO)2敗1分。「(武居は)パンチのある選手。すぐ終わったり、終わらせられたりする可能性があるので気をつけたい」と警戒している。
 KO率89パーセントのサウスポーのパンチャーと、KO率79パーセントの連打型ファイターという組み合わせだけに、激闘が約束されたカードといえる。


WBA世界S・ライト級挑戦者決定戦
平岡アンディ対イスマエル・バロッソ


KO率78%の28歳 vs KO率74%の41歳
強打のサウスポー対決

 WBA世界S・ライト級6位にランクされる平岡アンディ(28=大橋)が、WBA同級暫定王者のイスマエル・バロッソ(41=ベネズエラ)と挑戦者決定戦に臨む。
 ともにサウスポーの強打者だが、平岡は身長182cm、リーチ188cmの恵まれた体格とスピードを生かしたアウトボクシングをベースに戦うタイプで、好機には左ストレートや右フックなどで一気に攻め込むことが多い。
 バロッソは身長174cm、リーチ175cmとS・ライト級では平均的な体格だが、独特な間合いで変則的な左右フックを打ち込むスラッガーだ。被弾も多く、肉を切らせて骨を断つタイプと言っていいだろう。暫定王座とはいえ2階級制覇を成し遂げており、アメリカ、メキシコ、イギリスなど異国の地での試合も多く経験値は高い。逆転KO勝ち、逆転KO負けもあり意外性の選手でもある。
 戦績は、このところ9連続KO勝ちの平岡が23戦全勝(18KO)、バロッソが31戦25勝(23KO)4敗2分。


◆[WOWOW ボクシング 放送・配信情報]◆


4団体統一世界S・バンタム級タイトルマッチ
井上尚弥vsTJ・ドヘニー

WBO世界バンタム級タイトルマッチ
武居由樹vs比嘉大吾

WBA世界S・ライト級挑戦者決定戦
平岡アンディvsイスマエル・バロッソ

11/4(月・休)午後9:00 WOWOWライブWOD

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