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NABF・NABO北米S・ウェルター級タイトルマッチ ザンダー・ザヤス対ダミアン・ソーサ

「近未来の世界王者」 22歳のザヤス
元世界ランカー相手に地域王座防衛戦

 17歳1ヵ月でプロデビューし5年間に19戦全勝(12KO)をマークしているS・ウェルター級の大型ホープ、ザンダー・ザヤス(22=プエルトリコ)が、保持するNABF・NABO北米S・ウェルター級王座の防衛戦に臨む。相手のダミアン・ソーサ(27=メキシコ)はスタミナと体力が自慢の元世界ランカー。着実に世界に近づいているザヤスのパフォーマンスに要注目だ。

スター街道の途中にいるザヤス

 ザヤスはアマチュアを経て2019年10月にプロデビューした。シャクール・スティーブンソン(アメリカ)、エマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)、オスカル・バルデス(メキシコ)、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)らトップランク社のスター選手たちの前座に出場する機会が多く、早くから「将来の世界王者」として期待と注目を集めてきた。NABOとNABF北米王座を獲得した2年前あたりから対戦相手のクォリティを上げ、今年6月には元WBO世界S・ウェルター級王者のパトリック・テイシェイラ(ブラジル)にも判定で完勝。ランキングをWBO3位、WBC6位、IBF7位まで上げてきた。
 身長178cm、リーチ188cmと恵まれた体格の持ち主で、突き刺すような左ジャブから右ストレートを打ち込み、距離が詰まると左ボディブロー、左右アッパーと多彩なパンチで追い込んでいく。まるでエネルギーの塊のような選手だ。
この階級にはテレンス・クロフォード(アメリカ)が参入してきたためトップ戦線は先が読みにくい状態になっているが、ザヤスが近未来の有力な王者候補であることは間違いない。そのためにも今後も内容の伴った勝利を重ねていく必要がある。

世界10位内に入ったこともある「サムライ」

 「サムライ」というニックネームを持つソーサは現在WBC30位に甘んじているが、WBO中南米S・ウェルター級王座を獲得した半年後の2021年12月にはWBO15傑入りを果たしたこともある。一時は10位内にも食い込んだが、2023年4月にイバン・アルバレス(メキシコ)に敗れて圏外に落ちた。しかし、その後は世界挑戦経験者のダンテ・ハルドン(メキシコ)に勝つなど3連勝と調子を取り戻している。
 身長175cm、リーチ182cmのしっかりした骨格の選手で、スピードやパワーは平均の域を出ないが、横殴りの右に加え左フック、左アッパーなど中間距離での戦いで持ち味を発揮するタイプといえる。すでに10ラウンドをフルに7度戦い切っており、長丁場の戦い方も心得ている。

体力のあるタフなソーサを倒せるか

 勢いに加えスピード、パンチ力、攻撃のバリエーション、機動力などで勝るザヤスが積極的に煽り、ソーサが機を見て応戦する展開になりそうだ。まだザヤスは打たれ強さに関しては試されていないため波乱の可能性もゼロとはいえないが、ミスがなければ前半から試合をコントロールしていきそうだ。ラウンドを重ねながらザヤスが着実にポイントを重ねていくものと思われるが、はたしてタフで体力のあるソーサを仕留めることができるかどうか。

<S・ウェルター級トップ戦線の現状>


WBA         :テレンス・クロフォード(アメリカ)
WBA休養:ジャーメル・チャーロ(アメリカ)
WBC         :セバスチャン・フンドラ(アメリカ)
WBC暫定:バージル・オルティス(アメリカ)
IBF            :バカラン・ムラタザリエフ(ロシア)
WBO         :セバスチャン・フンドラ(アメリカ)
WBO暫定:テレンス・クロフォード(アメリカ)

 8月にテレンス・クロフォード(37=アメリカ)がWBA王者のイスライル・マドリモフ(29=ウズベキスタン)に競り勝って4階級制覇を達成。併せてWBO暫定王座も獲得した。しかし、階級の壁なのか年齢から来る衰えなのか、無敵状態が続いていたクロフォードにしては苦戦の印象が強く、採点上でも終盤で辛うじて抜け出した形だ。それでもS・ウェルター級の主役に躍り出たことは確かで、今後、誰と戦うのか注目していきたい。
 今年3月、WBO王者だったティム・チュー(29=オーストラリア)との流血戦を勝ち抜いた「タワーリング・インフェルノ」、セバスチャン・フンドラ(26=アメリカ)は、その試合で空位のWBC王座も獲得。その後、一時はクロフォードに対戦を呼びかけていたが、振り向いてもらえなかったようだ。代わりに元ウェルター級3団体王者のエロール・スペンス(34=アメリカ)がフンドラの次戦の相手候補として浮上している。すでにオッズは9対4でスペンス有利と出ているが、身長197cm、リーチ203cmと規格外の長身サウスポー王者が相手だけに展開と勝敗は読み切れないところがある。
 流血が響いてフンドラに敗れたチューは、IBF王者のバカラン・ムルタザリエフ(31=ロシア)への挑戦が決まっている(11月25日にエキサイトマッチで放送・配信予定)。
 以前から大きな期待を背負っていたバージル・オルティス(26=アメリカ)は8月、セルヒイ・ボハチュク(29=ウクライナ)に競り勝ってWBC暫定王者になった。しかし、デビューからの連続KO勝ちは21で途絶え、自身は2度の軽いダウンを喫するなど手放しで喜べる内容ではなかった。まだまだ成長途上ということだろうか。
 そのほか次戦未定のWBA休養王者ジャーメル・チャーロ(34=アメリカ)、オルティスと互角に打ち合った26戦24勝(23KO)2敗のボハチュク、19戦全勝(12KO)の新星、ザンダー・ザヤスとタレントは豊富だ。

WBCシルバー・NABF北米・WBOインターコンチネンタル フェザー級タイトルマッチ
ブルース・カーリントン対スライマン・セガワ


井上尚弥に秋波のカーリントン
世界ランカー対決でアピールできるか

 フェザー級でWBA1位、WBCとWBOで2位、IBF8位にランクされるブルース・カーリントン(27=アメリカ)が、WBO9位のスライマン・セガワ(33=ウガンダ)との世界ランカー対決に臨む。カーリントンの持つNABF北米、WBOインターコンチネンタル王座とセガワが保持するWBCシルバー王座がかけられた一戦だが、それ以上に世界先陣争いとして注目される。
 カーリントンは2021年10月のデビューから12連勝(8KO)を収めているホープで、井上尚弥(大橋)のフェザー級転向を前提に対戦を呼びかけている。今年6月のブライアン・デ・グラシア(パナマ)戦試合には、ニューヨークでの表彰式を終えた井上が招かれて観戦しており、S・バンタム級の4団体王者もカーリントンの存在は認識しているようだ。
 173cmの身長に対しリーチが183cmとフェザー級では大柄なカーリントンはスピードとパンチ力を備えた好選手で、近未来の世界王者として期待されている。昨年から対戦相手の質を上げてテストを繰り返しているが、まだ競った状態での長期戦をどう乗り越えるか、また打たれ強さという点は試されていない。
 アフリカのウガンダ出身のセガワは2013年4月に同国の首都カンパラでプロデビューし、2018年からアメリカを活動拠点にしている。のちに世界挑戦するエイブラハム・ノバ(アメリカ)、ジャメイン・オルティス(アメリカ)、WBA4位のミルコ・クェジョ(アルゼンチン)らには敗れたが、今年7月に世界挑戦経験者でWBC1位のルーベン・ビリャ(アメリカ)に番狂わせの10回判定勝ちを収めWBCシルバー王座を獲得している。戦績は23戦17勝(6KO)4敗1分。サウスポーのボクサーファイター型で、左ストレートから右フックの返しを得意としている。ただ、パンチに体重が乗りにくいフォームのうえ上体が立つクセがあり、アゴが空くことが多い。
 カーリントンが仕掛け、セガワが迎え撃つパターンが予想される。カーリントンのスピードにセガワの対応が遅れるようだと前半から一方的な展開になる可能性がある。中盤を待たずに勝負が決したとしても不思議ではないが、逆にサウスポーのセガワのカウンターや粘りに手を焼いた場合は勝負が長引きそうだ。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


NABF・NABO北米S・ウェルター級タイトルマッチ
ザンダー・ザヤスvsダミアン・ソーサ

WBCシルバー・NABF北米・WBOインターコンチネンタル フェザー級タイトルマッチ
ブルース・カーリントンvsスライマン・セガワ

10/28(月)午後9:00 WOWOWライブWOD


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