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S・ミドル級12回戦 ハイメ・ムンギア対エリック・バジニャン

世界上位ランカー同士のサバイバル戦
オッズは13対2 ムンギア有利

 S・ミドル級でWBC2位、WBO5位、IBF6位、WBA10位にランクされるハイメ・ムンギア(27=メキシコ)と、WBO2位、WBA4位、WBC6位、IBF7位のエリック・バジニャン(29=アルメニア/カナダ)が、さらなるランクアップと世界挑戦切符を狙って対戦する。44戦43勝(34KO)1敗のムンギア、33戦32勝(23KO)1分のバジニャン。オッズは13対2でムンギア有利と出ている。

アルバレス戦敗北後の再起戦に臨むムンギア

 ムンギアは16歳9ヵ月でプロデビューし、20歳になるまでに17連勝(14KO)を収めるなど順調なスタートを切った。2018年4月にはドーピング違反が発覚したサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)に代わりゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)の持つWBA、WBC世界ミドル級王座への代役挑戦の話が舞い込んだこともあった。ムンギア陣営は「イエス」の返事だったが、ネバダ州アスレチック・コミッションがミドル級での実績が皆無であることなどを理由に対戦許可を出さなかった経緯がある。その直後、今度はWBC世界S・ウェルター級王者、サダム・アリ(アメリカ)への挑戦が実現する。これも体調不良のリアム・スミス(イギリス)に代わるピンチヒッターだった。その試合でムンギアは計4度のダウンを奪う4回TKO勝ちを収め21歳で戴冠を果たした。
 肉体も選手としても伸び盛りのムンギアは5度の防衛後、王座を返上してミドル級に転向。地域王座を獲得するなどして挑戦の機会を待ったが実現せず、2022年にはS・ミドル級にクラスを上げた。ここでも強豪のセルゲイ・デレビヤンチェンコ(ウクライナ)やジョン・ライダー(イギリス)を連破。今年5月にはアルバレスの持つ4団体統一王座に挑戦したが、善戦したものの4回にダウンを喫して12回判定負けに終わり、厚い壁を破ることはできなかった。これが再起戦となる。
 2階級下から上げてきた選手だが、身長、リーチとも183cmと体格でS・ミドル級でも大きく見劣りすることはない。中間距離から飛びこみながら右ストレート、左フックの強打を振るうスラッガーで、チャンス時の波状攻撃は迫力がある。スタミナと打たれ強さも平均以上のものがある。

70%のKO率を誇るスイッチヒッターのバジニャン

 バジニャンはアルメニアの首都エレバンの出身で、アマチュアで109戦(108勝1敗)を経験後、2013年9月にカナダでプロデビューした。NABO北米、NABA北米、NABF北米王座などを獲得してランキングを上げ、2年前からは世界挑戦経験者や元世界ランカーらを連破、世界王座が視界に入るところまで来た。今回は5年ぶり3度目のアメリカのリングとなる。
 ムンギアを上回る185cmの長身から左ジャブを突いて主武器の右ストレートに繋げ、距離が詰まると右アッパーなどで攻め立てるボクサーファイター型だ。機を見て左構えにチェンジすることもあるスイッチヒッターで70パーセントのKO率を残しているが、やや柔軟性に欠ける印象もある。

攻撃力と経験で勝るムンギアのKO勝ちか

 13対2のオッズが出ているように攻撃力や大試合の経験値で勝るムンギアが有利であることは間違いない。足をつかいながら角度をつけたうえで飛び込み、右ストレート、左フックの顔面、ボディへの打ち分けなどが決まれば中盤あたりのKO勝ちが見られるかもしれない。決定的なシーンを生み出すことができなかったとしてもポイントを重ねていく可能性が高そうだ。
 バジニャンとすれば丹念に左ジャブを突いて距離を保ち、相手が入ってきたタイミングに右アッパーで迎え撃ちたい。サウスポーにスイッチすることも目先を変える意味では効果があるかもしれないが、ムンギアは左構えの相手を苦にしないだけにバジニャンは細心の注意が必要になりそうだ。

<S・ミドル級トップ戦線の現状>


WBAスーパー:サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
WBA暫定         :ケイレブ・プラント(アメリカ)
WBC                  :サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)
IBF                     :空位
WBO                  :サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)


 WBAレギュラー王者だったデビッド・モレル(26=キューバ)とWBC暫定王者だったデビッド・ベナビデス(27=アメリカ)が今夏、ともにL・ヘビー級に上げて王座決定戦に臨み、モレルはWBAレギュラー王座、ベナビデスはWBC暫定王座を獲得した。状況次第ではS・ミドル級に戻る可能性もゼロではなさそうだが、ここでは除外しておくことにする。
 日本時間の15日にアメリカで行われた3団体統一タイトルマッチで3団体統一王者のサウル・カネロ・アルバレス(34=メキシコ)がエドガー・ベルランガ(27=アメリカ)に大差の12回判定勝ちを収め、階級の主であることを強く印象づけた。敗れたベルランガも株を落とすような惨敗ではなかっただけに巻き返しに期待したい。
 ランカーのなかではWBA2位、WBC1位、IBF3位、WBO3位のクリスチャン・エムビリ(29=カメルーン/フランス)に注目したい。カメルーン出身でフランス国籍を持ち、現在はカナダ在住のエムビリは28戦全勝(23KO)のスラッガーで、直近の試合ではセルゲイ・デレビヤンチェンコ(38=ウクライナ)に10回判定で快勝している。2025年には大舞台に上がりそうだ。
 今回のハイメ・ムンギア対エリック・バジニャンの試合もサバイバル戦として要注目カードである。
さらにIBF王座の決定戦、22戦全勝(9KO)のウィリアム・スクール(32=キューバ)対16戦全勝(10KO)のウラディミール・シシュキン(33=ロシア)にも注目したい。

◆◆◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆◆◆


エキサイトマッチ~世界プロボクシング S・ミドル級12回戦 ハイメ・ムンギアvsエリック・バジニャン
9/21(土)午前10:00頃~ WOD先行ライブ配信
9/23(月・休)午後9:00 WOWOWライブWOD


◆最新の放送・配信予定などはこちらから◆


【WOWOWエキサイトマッチ公式サイト】 https://www.wowow.co.jp/sports/excite/
【WOWOWエキサイトマッチ公式X】 https://x.com/Excite_Match
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ハイメ・ムンギア Getty Images、エリック・バジニャン 写真:AP/アフロ

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