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WBC世界S・フライ級タイトルマッチ ファン・フランシスコ・エストラーダ対ジェシー・ロドリゲス

34歳 vs 24歳 2階級制覇王者対決
オッズは5対1でロドリゲス有利

 16年のプロキャリアを誇る2階級制覇王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(34=メキシコ)が、同じく2階級制覇の実績を持つジェシー・ロドリゲス(24=アメリカ)を相手にWBC世界S・フライ級王座の初防衛戦に臨む。万能型のエストラーダとスイッチヒッターのロドリゲス。オッズは5対1で挑戦者有利と出ている。

16年のキャリアで47戦を経験しているエストラーダ

 「El Gallo」雄鶏というニックネームを持つエストラーダは2008年にプロデビューし、ここまで47戦44勝(28KO)3敗の戦績を残している。2013年に獲得したWBA・WBO世界フライ級王座は5度防衛し、S・フライ級に転向してからはWBA王座とWBC王座の統一を果たしている。現在のWBC王座はライバルのローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との決定戦を経て再獲得したもので、今回はその試合から1年7ヵ月ぶりの実戦となる。蓄積した疲労やダメージを考えると良き休養になったともとれるが、一方で34歳になったこともあり勘の鈍りが気になるところでもある。
 フライ級時代は強打者のイメージがあったが、S・フライ級に転向してからの12試合では11勝(4KO)1敗とKO率は33パーセントに留まっている。スタミナや打たれ強さを含め総合力で勝利をつかんでいる印象が強い。2020年前後はパウンド・フォー・パウンドのトップ10常連だったが、試合から遠ざかっている現在はランクから外れている。

若さと勢いに経験が加わりつつあるロドリゲス

 キャリア晩年を迎えた印象のエストラーダとは対照的に、「Bam」の愛称で知られる24歳のロドリゲスは若さと経験がほどよくマッチしてきたところだ。2022年2月にカルロス・クアドラス(メキシコ)を破ってWBC世界S・フライ級王座を獲得したときは代役として階級アップして大舞台に臨んだが、それを機に一気にスターダムを駆け上がってきた。昨年4月には中谷潤人(M.T)が返上したWBO世界フライ級王座を獲得して逆2階級制覇を達成。8ヵ月後、IBF王者のサニー・エドワーズ(イギリス)を9回終了で棄権に追い込んで2団体王座を統一している。
 7年のプロキャリアで積み上げた勝利は19(12KO)。この数字はまだまだ伸びそうな勢いだ。構えを左から右、右から左と変えるスイッチヒッターで、左右のフックに加えアッパーも巧みで強い。12ラウンドをフルに3度戦い切っており、スタミナも問題ない。すでにエストラーダを凌ぐ評価を得ており、今回も5対1のオッズが背中を押している。

序盤から打撃戦に突入か

 ともに手数の多い攻撃型ということで、序盤からテンポの速いパンチの交換が見られそうだ。ややスロースタートの気があるエストラーダは出遅れると厄介なことになるため、早い段階で主導権を握っておきたい。ただ、スイッチヒッターのロドリゲスが簡単にペースを渡すとは思えず、早々から激しい打撃戦が予想される。ふたりとも一定以上の打たれ強さがあるだけに、勝負は前半から中盤にかけて競った状態が続くかもしれない。エストラーダの経験が勝るのか、それともロドリゲスの若さと勢いが凌駕するのか。

<S・フライ級トップ戦線の現状>


WBA        :フェルナンド・マルチネス(アルゼンチン)
WBA暫定:ダビド・ヒメネス(コスタリカ)
WBC        :ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)
WBC暫定:ペドロ・ゲバラ(メキシコ)
IBF          :フェルナンド・マルチネス(アルゼンチン)
WBO       :田中恒成(畑中)

 7月にWBA王者の井岡一翔(35=志成)に12回判定勝ちを収めてIBF王座との2団体統一を果たしたフェルナンド・マルチネス(33=アルゼンチン)は小柄なファイターで、井岡戦では防御面でも意外な巧さを見せた。見た目ほどのパワーは感じなかったが、手数の多さとスタミナは驚異的だった。2本のベルトを持っているため、さらなる統一戦の声がかかる可能性は高そうだ。WBC王者(ファン・フランシスコ・エストラーダ対ジェシー・ロドリゲスの勝者)、WBO王者の田中恒成(29=畑中)との対戦も見てみたいものだ。
 4月にWBA暫定王者になったダビド・ヒメネス(32=コスタリカ)は昨年1月、アルテム・ダラキアン(36=アゼルバイジャン/ウクライナ)の持つWBA世界フライ級王座に挑んで12回判定負けを喫したあと再起4連勝中だが、他団体王者たちと比べると格落ちの印象は拭えない。WBC暫定王者のペドロ・ゲバラ(35=メキシコ)は5月に相手国でアンドリュー・マロニー(33=オーストラリア)に競り勝って2階級制覇を果たしたが、この階級における現時点での存在感は薄い。
 ランカーを見てみると4階級制覇の実績を持つローマン・ゴンサレス(37=ニカラグア)と井岡、元WBA王者のアンドリュー・マロニー(33=オーストラリア)、元WBC王者のシーサケット・ソールンビサイ(37=タイ)といった実力者が目立つ。いずれも30代半ばを迎えているが、もうひと暴れもふた暴れもしてほしいものだ。

フライ級12回戦
サニー・エドワーズ対アドリアン・クリエル


王者経験者同士のサバイバル戦
エドワーズの運動量が勝るか

 昨年12月にWBO世界フライ級王者のジェシー・ロドリゲス(アメリカ)に9回終了TKOで敗れ、IBF同級王座を失ったサニー・エドワーズ(28=イギリス)と、今年2月、シベナティ・ノンティンガ(南アフリカ)に10回TKO負けを喫してIBF世界L・フライ級王座を失ったアドリアン・クリエル(25=メキシコ)が、再起戦で拳を交える。非情なサバイバル戦だ。
 エドワーズは21戦20勝(4KO)1敗のスイッチヒッターで、運動力と手数の多いタイプだ。ロドリゲス戦ではダメージを溜め込んで棄権に追い込まれたが、打たれ強さも備えている。
 クリエルは1年前までは無名と言っていい存在だったが、初の国外遠征となったモナコでノンティンガに2回KO勝ち、IBF世界L・フライ級王者になった。評価の高かったノンティンガの圧勝が予想されたカードだったが、クリエルが唐突に放った右一撃で勝負は決した。ただし、3ヵ月後の再戦ではロープダウンをとられたあと10回TKO負け、王座を失っている。
 ともに再起戦ということでコンディションなど不確定な面はあるが、経験やスタミナで勝るエドワーズが有利であることは間違いない。細かく動きながら手数で圧倒しそうだ。


ライト級8回戦
アブドゥラー・メイソン対ルイス・レブロン


20歳の世界王者候補メイソン
プエルトリコの「ポパイ」を圧倒か

 ジュニア時代に全米ジュニア五輪や全米ユース選手権で優勝するなど80戦65勝15敗のアマチュア戦績を残し、17歳でプロ転向したアブドゥラー・メイソン(20=アメリカ)が、元世界ランカーのルイス・レブロン(30=プエルトリコ)と対戦する。スピードと強打を併せ持つ逸材、メイソンに要注目だ。
 メイソンは4人兄弟全員がボクサーで、父親のバリアント・メイソンがトレーナーを務めている。トップランク社と契約して2021年11月にプロデビュー。3年間に13戦全勝(11KO)の戦績を収めている。まだ世界的強豪との対戦はないが、潜在的な能力は高く評価されており、「近未来の世界王者」として期待を集めている。
 「ポパイ」というニックネームを持つレブロンは2013年4月にプロデビューした11年選手で、ここまで26戦20勝(13KO)5敗1分の戦績を残している。2018年から2019年2月にかけてWBOでフェザー級15位内をキープしていたこともある。2021年にS・フェザー級に上げたが3連敗し、その後はライト級、S・ライト級の体重で戦い2連続TKO勝ちを収めている。
 WBA中南米王座、WBO中南米王座、WBA中米王座など地域王座を獲得した実績を持つレブロンを軽視することは危険だが、ここはメイソンのスピードと勢いが勝りそうだ。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


エキサイトマッチ~世界プロボクシング WBC世界S・フライ級タイトルマッチ ファン・フランシスコ・エストラーダvsジェシー・ロドリゲス
8/19(月)午後9:00 WOWOWライブWOD


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