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WBO世界S・ライト級タイトルマッチ テオフィモ・ロペス対スティーブ・クラゲット

2階級制覇王者ロペスのV2戦
挑戦者は「カナダのドラゴン」

 昨年6月、当時無敗だったジョシュ・テイラー(イギリス)に土をつけてWBO世界S・ライト級王座を獲得、2階級制覇を成し遂げたテオフィモ・ロペス(26=アメリカ)のV2戦。35歳の「カナダのドラゴン」、同級8位のスティーブ・クラゲット(35=カナダ)を相手に圧勝がノルマといえる。

一時の勢いが感じられないロペス

 ロペスは2016年リオデジャネイロ五輪に両親の故国ホンジュラス代表として出場(1回戦敗退)するなどアマチュアで170戦150勝20敗の戦績を残し、2016年11月にプロデビューした。元世界ランカーや世界挑戦経験者にド派手なKO勝ちを収め、2019年7月には中谷正義(帝拳)にも勝って世界挑戦権を獲得。5ヵ月後の世界挑戦ではリチャード・コミー(ガーナ)を右カウンターでキャンバスに転がして2回TKO勝ち、IBF世界ライト級王者になった。次戦ではWBA王座、WBCフランチャイズ(特権)王座、WBO王座を持つワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)にも勝ち、事実上の4団体王者になった。
 このまま一気に時代をつくるかと期待されたが、1年1ヵ月後に伏兵ジョージ・カンボソス(オーストラリア)に惜敗して失冠。ビジネス面で摩擦が生じたことによるブランクが響いたようだ。これを機にS・ライト級に転向し、以後はテイラー戦を含め4連勝を収めている。しかし、このところ3連続判定勝ちと以前の勢いが感じられないのが寂しいところだ。戦績は21戦20勝(13KO)1敗。

打たれ強く執拗なファイターのクラゲット

 挑戦者のクラゲットは2008年9月にプロデビューした16年選手で、地域王座を獲得しても連勝が5以上には伸びず、長いこと中堅どころという位置づけに甘んじていた。しかし、2021年8月以降は元暫定世界王者のエマヌエル・ロペス(グアテマラ)、世界挑戦経験者のトニー・ルイス(カナダ)、元世界王者のアルベルト・マチャド(プエルトリコ)、元世界ランカーのミゲール・マドゥエノ(メキシコ)らを連破。このところ9連勝(7KO)と好調をキープしている。脇を絞った構えで前進しながらしつこくパンチを繰り出すファイター型で、「ドラゴン」のニックネームを持つ。戦績は47戦38勝(26KO)7敗2分。ただし、KO率(55パーセント)ほどパンチ力は感じらない。一方、7敗のうちKOは1度だけで、なかなか打たれ強いタイプといえる。

8対1のオッズ ロペスが圧倒か

 8対1というオッズが出ているように実績や総合力で大きく勝るロペス有利は揺るがない。初の大舞台となるクラゲットが臆する様子を見せるようだとロペスが一気に攻め落としてしまう可能性も否定できない。仮に勝負が長引いたとしても要所で確実にポイントをつかんでいくものと思われる。大番狂わせが起こるとしたらクラゲットの執拗な攻撃にロペスが集中力を失い、覇気なく後退を繰り返した場合だろう。

<S・ライト級トップ戦線の現状>


WBA S     :イサック・クルス(メキシコ)
WBA暫定:イスマエル・バロッソ(ベネズエラ)
WBC         :アルベルト・プエジョ(ドミニカ共和国)
WBC休養:デビン・ヘイニー(アメリカ)
IBF            :リアム・パロ(オーストラリア)
WBO         :テオフィモ・ロペス(アメリカ)

 春まではWBC王者だったデビン・ヘイニー(25=アメリカ)が頭ひとつ抜け出た存在だったが、初防衛戦で体重オーバーのライアン・ガルシア(25=アメリカ)に3度のダウンを喫して12回判定で完敗。のちにガルシアのドーピング違反が発覚したため結果は無効試合に変更されたが、ヘイニーは「WBC休養王者」にスライドした。空いた正王座にはゲイリー・アントゥアン・ラッセル(28=アメリカ)に競り勝ったアルベルト・プエジョ(30=ドミニカ共和国)が就いた。
 WBA王者のイサック・クルス(26=メキシコ)は3月にローランド・ロメロ(28=アメリカ)に8回TKO勝ちを収めて戴冠。IBF王者のリアム・パロ(28=オーストラリア)は6月にアウェーでスブリエル・マティアス(32=プエルトリコ)に12回判定勝ちを収めて王座を獲得している。ふたりとも今後の数戦で真価が問われることになりそうだ。
 サウスポーの強打者、WBA暫定王者のイスマエル・バロッソ(41=ベネズエラ)にも同様のことがいえる。9月3日、平岡アンディ(27=大橋)との一戦が楽しみだ。
 WBO王者のテオフィモ・ロペスは本来ならばこのクラスの核になっているべき選手だが、ライト級時代の勢いが感じられないのが寂しい。老け込む年齢ではないだけに、まだまだ暴れまわってほしいものだ。
 ランカーでは王者経験者のジョシュ・テイラー(33=イギリス)、マティアス、ホセ・カルロス・ラミレス(31=アメリカ)、レジス・プログレイス(35=アメリカ)らが健在だ。そのプログレイスは8月24日、テイラーに勝った迎撃型のサウスポー、ジャック・カテロール(31=イギリス)との試合が決まっている。
 このほか五輪戦士のリチャード・ヒッチンス(26=アメリカ)、アーノルド・バルボサ(32=アメリカ)らが控えている。

NABO北米フェザー級王座決定戦
ロベイシ・ラミレス対ブランドン・レオン・ベニテス

前WBO王者ラミレスの再起戦
相手のベニテスはWBO6位、IBF7位

 昨年12月、185cmの長身強打者、ラファエル・エスピノサ(メキシコ)に12回判定負けを喫してWBO世界フェザー級王座を失ったロベイシ・ラミレス(30=キューバ)の再起戦。相手のブランドン・レオン・ベニテス(26=メキシコ)は同級WBO6位、IBF7位にランクされる世界ランカーだけに熾烈なサバイバルマッチといえる。
 ラミレスは2012年ロンドン五輪(フライ級)、2016年リオデジャネイロ五輪(バンタム級)で金メダルを獲得し、トップランク社と契約を交わしてプロに転向。しかし、デビュー戦でダウンを喫して判定負けという最悪のスタートとなった。2戦目からは本来の力を発揮し、昨年4月にWBO世界フェザー級王座を獲得。7月には来日して清水聡(大橋)の挑戦を5回TKOで退けた。
ところが次戦でエスピノサに敗れて無冠に戻ってしまった。5回に痛烈なダウンを奪ってリードしたものの中盤から挑戦者の追い上げを許し、最終回には自身が疲労とダメージでダウン。これが響いて王座を明け渡すことになった。戦績は15戦13勝(8KO)2敗。
 ベニテスは2014年5月に16歳2ヵ月の若さでプロデビューし、10年間に23戦21勝(9KO)2敗の戦績を収めている。2年前に元世界王者のチャン・シュー(中国)に僅差の10回判定勝ちを収めたのが出世試合で、次戦でNABO北米フェザー級王座を獲得した実績を持っている。中間距離での戦いを好む右のボクサーファイター型で、勇敢だが決め手に欠ける傾向がある。
 世界ランカー同士のカードだが、アマチュアとプロを通じた経験値と実績、さらに現有戦力に差があることは否めない。前戦で負った心身のダメージが抜けていることを前提に考えれば、ラミレスが圧力をかけながら攻め落としてしまうという予想が順当なところだろう。

◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆


エキサイトマッチ~世界プロボクシング WBO世界S・ライト級タイトルマッチ テオフィモ・ロペスvsスティーブ・クラゲット
8/5(月)午後9:00 WOWOWライブWOD


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