WBO世界フェザー級タイトルマッチ ラファエル・エスピノサ対セルヒオ・サンチェス
185cmと175cmの長身対決
エスピノサの初防衛戦
昨年12月、12対1という絶望的不利なオッズをひっくり返してロベイシ・ラミレス(キューバ)に12回判定勝ちを収めてWBO世界フェザー級王者になったラファエル・エスピノサ(30=メキシコ)の初防衛戦。WBO2位のセルヒオ・サンチェス(29=メキシコ)を相手に真価が問われることになる。
ラミレス戦の逆転勝利でトップに躍り出たエスピノサ
エスピノサは2013年2月にプロデビューし、11年間に24戦全勝(20KO)の戦績を残している。83パーセントのKO率が示すとおりの強打者だが、ラミレス戦までは地域王座戦や世界的強豪との対戦がなく実力は未知とされていた。そのラミレス戦でも5回に痛烈なダウンを喫するなど厳しい場面があったが、中盤以降に猛反撃。最終12回には五輪連覇のサウスポー王者に連打を浴びせてダウンを奪い返し、逆転の判定勝ちを収めた。
エスピノサの最大の特徴は185cmの長身と188cmのリーチという身体的優位性にあるといっていいだろう。遠くから左ジャブを飛ばすだけでなく中近距離では長い腕をコンパクトに畳んで左右上下から巧みにパンチを打ち込んでダメージを与える。ラミレス戦ではダウンを喫して打たれ強さに疑問を残したが、そこから盛り返すなどハートの強さを証明している。
実力未知の挑戦者サンチェス
サンチェスはアマチュア時代にラミレスと2度対戦したことがあるが、いずれも3回判定負けを喫している。のちにプロで世界王者になるエクトル・ルイス・ガルシア(ドミニカ共和国)や世界ランカーになるゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)らとも手合わせした経験があるが、すべて判定で敗れている。
プロ転向は2016年10月で、8年間に23戦22勝(13KO)1敗の戦績を残している。唯一の敗北は2018年8月、のちに世界王者になるマウリシオ・ララ(メキシコ)に2回終了TKO負けを喫したものだが、以後は13連勝(9KO)を収めている。こちらも身長175cm、リーチ173cmと体格に恵まれている。ただ、元世界ランカーとの対戦はあるものの強豪との対戦経験がなく実力は未知といえる。
6対1でエスピノサ有利のオッズ
6対1のオッズが出ているようにラミレス戦で評価を上げたエスピノサが有利であることは間違いない。サンチェスが自分よりも大きな相手に戸惑いを見せるようだと王者が早い段階で主導権を握る可能性がある。挑戦者は序盤で王者に警戒心を植えつけたいところだ。そうしないと2階から打ち下ろすようなエスピノサの左ジャブ、下から突き上げる左右アッパーが猛威を振るいそうだ。
<フェザー級トップ戦線の現状>
WBA :ニック・ボール(イギリス)
WBC :レイ・バルガス(メキシコ)
WBC暫定:ブランドン・フィゲロア(アメリカ)
IBF :ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)
WBO :ラファエル・エスピノサ(メキシコ)
戦国模様の階級といえる。1年前はノーマークだったラファエル・エスピノサがWBO王者になっているように、絶対的な存在が見当たらず、しばらくは混戦状態が続きそうだ。
長期政権を誇るWBC王者のレイ・バルガス(33=メキシコ)は昨年2月、S・フェザー級でWBC王座決定戦に出場したが判定負け。今年3月の再起戦&初防衛戦では現WBA王者のニック・ボール(27=イギリス)と引き分けている。そのボールはバルガス戦から3ヵ月足らずでレイモンド・フォード(25=アメリカ)のWBA王座に挑んで競り勝っている。バルガスは長身のボクサー型、ボールは小柄なファイターだ。
ファイターといえばIBF王者のルイス・アルベルト・ロペス(30=メキシコ)とWBC暫定王者のブランドン・フィゲロア(27=アメリカ)も同じカテゴリーに入る。3月に阿部麗也(31=KG大和)を8回TKOで退けたロペスは8月に元WBO世界S・バンタム級王者のアンジェロ・レオ(30=アメリカ)を相手に4度目の防衛戦を行う予定だ。
エスピノサはロベイシ・ラミレス(30=キューバ)とダウン応酬の激闘を展開して12回判定勝ちで王座を奪ったが、まだ評価を定める段階ではない。今回のセルヒオ・サンチェスとの初防衛戦でどんなパフォーマンスを見せるのか楽しみだ。
若手ではブルース・カーリントン(27=アメリカ)に注目したい。まだ試されていない面が多々あるが、スピードのある攻撃型なので誰と戦っても好勝負が期待できる。本人は井上尚弥(大橋)のフェザー級転向を待っているようだが、対戦を前提に考えるなら自身がタイトルホルダーになっている必要があるだろう。井上に倒されたスティーブン・フルトン(30=アメリカ)、ルイス・ネリ(29=メキシコ)もこの階級に参入してきそうだ。
このほか3階級制覇を目指している亀田和毅(33=TMK)、日本王者の松本圭佑(25=大橋)らも控えている。
NABO北米S・フェザー級王座決定戦
アンドレス・コルテス対エイブラハム・ノバ
S・フェザー級でWBO2位、WBC14位にランクされるホープ、アンドレス・コルテス(26=アメリカ)が、今年2月に世界挑戦して惜敗したエイブラハム・ノバ(30=アメリカ)と対戦する。ノバもWBC4位、WBO14位にランクされており、世界ランカー同士のサバイバルマッチということになる。
コルテスは2016年2月にプロデビューし、8年間で21戦全勝(12KO)のレコードを残している。今年2月にはオシャキー・フォスター(アメリカ)対ノバの前座に出場し、WBO4位にランクされていたブライアン・シェバリエ(プエルトリコ)に4回TKO勝ちを収めている。
対するノバは2016年4月にプロデビューしたあと21連勝(15KO)を収めたが、2年前にロベイシ・ラミレス(キューバ)に5回KO負けを喫して勢いがストップ。再起2勝後、フォスターに挑んだが、最終回のダウンが響いて僅差の判定負けを喫した。これが再起戦となる。
ランクされている団体は異なるものの上位ランカー同士の対戦だけに、序盤から目の離せない試合になりそうだ。
バンタム級8回戦
フロイド・ディアス対フランシスコ・ペドロサ
フロイド・ディアス(21=アメリカ)対フランシスコ・ペドロサ(30=メキシコ)は、WBC世界バンタム級30位にランクされるディアスに注目したい。これが4度目の8回戦となるディアスは11戦全勝(3KO)の戦績を残しているホープで、トップランク社主催の世界戦の前座に起用されることが多い。期待の証といえよう。
対戦相手のペドロサは32戦18勝(10KO)11敗2分の中堅だが、KO負けはデビュー戦と次戦の2度だけというタフガイだ。敗れたとはいえゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)、ジェイソン・マロニー(オーストラリア)、現WBA1位のアントニオ・バルガス(アメリカ)らと対戦した経験もある。元世界王者のラウシー・ウォーレン(アメリカ)には6回判定勝ちを収めているだけに侮れない。
◆[WOWOW エキサイトマッチ 放送・配信情報]◆
エキサイトマッチ~世界プロボクシング WBO世界フェザー級タイトルマッチ ラファエル・エスピノサvsセルヒオ・サンチェス
7/29(月)午後9:00
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